かくれ脱水を正しく知る。予防と対処法はこれだ!

知らない間に身体の水分が不足している「かくれ脱水」。自覚症状がないので、気づかない間に脱水症を引き起こしているかもしれません。
脱水症になると頭痛やめまいだけではなく、意識障害を起こす可能性もあります。では、かくれ脱水を予防するためにはどうしたらよいのでしょうか。
そこで今回は、かくれ脱水が起こりやすいシチュエーションと予防策を詳しく解説していきます。
かくれ脱水は日頃のちょっとした行動で予防することが可能です。特にお年寄りや小さな子どもは進行が早いので、早めに予防するように心がけましょう。
かくれ脱水とは?

かくれ脱水とは、身体の水分が不足した脱水症の一歩手前の状態のことをいいます。
脱水症は進行するまで症状が出にくいのが特徴です。そのため、自覚症状なくかくれ脱水になっている可能性があります。
人間の身体は、成人で体重の約60%、赤ちゃんで約80%、高齢者で約60%が水分で占められています。身体の水分量は、飲食で摂取した量と汗や尿で排出した量がバランスをとることで、一定に保たれているのです。
しかし、大量に汗をかいたり摂取する水分が不足したりすることで身体の中のバランスが崩れ、水分が不足してしまいます。この状態がかくれ脱水です。
特に冬は夏に比べると喉の渇きを感じることが少ないので、水分をとることが減ってしまいます。そうすると体内の水分量が減って失う水分量の割合が多くなってしまい、かくれ脱水になる危険性が高くなるでしょう。
また、食欲不振や身体のだるさなどの症状は、実はかくれ脱水が原因という場合もあるので注意が必要です。
かくれ脱水のサイン「べた」「だる」「ふら」「いた」に注意

かくれ脱水の症状を見極めるポイントは4つあります。
この4つの症状のうち、1つでも該当したら注意しましょう。
- 身体や首筋にベタっとした汗をかいている
- 身体がだるい状態が続く
- めまいや立ちくらみが起こる
- 足がつったり頭痛がする
これらの症状は、どれも身体の水分が足りていない状態で起こります。首筋を触ったときにベタっとしている場合は蒸し暑い状態、思った以上に汗をかいているかもしれません。
また、身体がだるかったりめまいが起きるのは、身体の水分が低下して血液がどろどろになっている可能性があるので、すぐに経口補水液を飲みましょう。症状がひどい場合は、医療機関を受診する事をおすすめします。
子どものかくれ脱水は進行が早いのでとくに注意

小さな子どもは身体の水分量が大人に比べて多く、その分身体から出ていく水分量も多いのが特徴です。そのため、早期に脱水状態が起こる危険性があります。
小さな子どもは自分で症状をうまく伝えることができないので、大人が注意してあげることが重要です。食欲不振や尿意の減少がおきたら、水分量が足りていないかもしれません。すぐに水分をあげてください。
かくれ脱水が起こるシチュエーションは?夏だけではなく冬も要注意

かくれ脱水が起こりやすい季節は、夏と冬です。夏は気温と湿度が高くなり、汗で身体の水分を奪われかくれ脱水が起こります。
一方、冬は乾燥が原因で身体の水分が奪われてかくれ脱水となるのです。
夏のかくれ脱水は「屋外」「夜間」「車内」に気を付ける

夏は温度や湿度が高く汗を大量にかくため、かくれ脱水になりやすくなります。気づかない間に熱中症に繋がるケースもあるので注意が必要です。
夏に屋外に出るときは日陰を歩いたり日傘を持ち歩いて、すこしでも涼しい場所を歩きましょう。喉が渇く前に水分補給をすることも大切です。
さらに、屋外だけではなく室内でもかくれ脱水の危険性があります。とくに夜間、寝ている間はかくれ脱水が起こりやすい時間帯です。
人間は寝ている間に200mlから500mlの汗をかくといわれています。エアコンを付けずに寝たり、夜中にトイレにいくのが億劫で水分を取らないで寝ると、汗で身体の水分量が奪われてかくれ脱水になりやすいので注意してください。
夜寝る前はなるべく部屋を涼しくして、十分に水分をとってから寝るように心がけましょう。
また、車内も熱中症が起こりやすい場所となります。車内は温度も上がりやすく、運転中は水分をとることを忘れてしまうことが多いからです。車に乗る時は、あらかじめトイレ休憩を考慮してこまめに水分をとり、窓を開けて汗を蒸発させる工夫をしましょう。
冬のかくれ脱水は乾燥が原因

冬は水分摂取量が減ることと、乾燥により身体から水分が蒸発するためにかくれ脱水がおこりやすくなります。
喉の渇きを感じていなくても、こまめな水分補給を意識することが大切です。乾燥対策として加湿器をおくこともおすすめですよ。
また、冬は風邪やインフルエンザなどの感染症による発熱や下痢、嘔吐でかくれ脱水が起こりやすくなるので注意しましょう。
かくれ脱水の予防法とは?

ここからは、かくれ脱水を予防する方法をご紹介しましょう。
夏と冬では予防法が異なります。かくれ脱水にならない為にも、ぜひ毎日の生活に取り入れてみてください。
こまめな水分補給

かくれ対策の一番有効な予防法は、水分補給です。
1日に必要な水分量は1.5Lと言われています。なるべく2,3時間ごとに水分を摂るのがおすすめですよ。かくれ脱水を防ぐためにも、喉が渇いていなくてもこまめに水分を補給するようにしましょう。
それでは、夏と冬の効果的な水分補給の方法をご紹介します。
夏は水分補給だけではなく夏バテ防止にも注意
夏はかくれ脱水だけではなく熱中症予防のためにも、こまめに水分補給することが重要です。
熱中症は、気温や湿度が高いときに汗が蒸発しにくくなり身体に熱がこもった結果、体温が下がらなくなったときに起こります。
かくれ脱水は、熱中症の一歩手前の状態です。夏の水分補給は水分と共に汗で失われた塩分も一緒に摂取するのがおすすめです。
また、かくれ脱水は夏バテと勘違いしやすいので、日頃から夏バテ防止となる食材を積極的に摂取しましょう。特にビタミンB1が豊富に含まれた豚肉やウナギ、疲労感を軽減してくれるクエン酸が含まれた梅干しなどがおすすめです。
冬は喉が渇いてなくでも水分を意識して取ることが重要
冬は喉の渇きを感じていなくても、水分をこまめに摂ることを意識しましょう。
特に、朝起きたらコップ一杯の水分を摂ることが重要です。冬でも寝ている間に汗をかいています。失われた水分を補給するために、朝起きたら水分をとるように心がけましょう。
このとき、冷たい水ではなく白湯を飲むと冷え対策としてもおすすめですよ。
室内の温度や湿度に注意する

かくれ脱水を防ぐために、適切な温度や湿度を管理することが重要です。
特に湿度は重要なので、日頃からチェックしましょう。
では、夏と冬の温度や湿度の管理についてご紹介します。
夏はエアコンを使用して室温を上げない工夫を
夏は無理な節電をせず、エアコンを使用して室温を上げないようにしましょう。
特に寝ている間にエアコンが止まると、室内の温度や湿度は急激に上がります。エアコンで
寒い場合は、窓を開けたり扇風機を使用して部屋の温度や湿度を下げることが大切です。
また、エアコンを使用すると空気が乾燥しやすくなるので、濡れタオルを掛けたりコンパクトタイプの加湿器を使用するなど、湿度管理を工夫してみてください。
冬は室内の乾燥に気を付ける
冬は部屋を乾燥させないために、加湿器を設置しましょう。
加湿器がない場合は、洗濯物を部屋干しすることもおすすめです。
部屋の乾燥を防ぐことは、かくれ脱水を防ぐだけではなく風邪やインフルエンザなどのウイルスを予防するためにも大切ですよ。
衣服で体温調節する

かくれ脱水を予防するためには、身体に熱がこもらない服装を選ぶことが重要です。
汗をかいたままだと、体温調節がうまくいかずに、かくれ脱水を起こす可能性が高くなります。さらに、かくれ脱水だけではなく、風邪などの体調不良をおこしやすくなるので注意しましょう。
では、夏と冬の衣服でできる体温調節の方法をご紹介します。
夏は吸水性がよく速乾性のある衣服がおすすめ
夏は汗を吸水しやすい素材や、速乾性のある素材の服を選びましょう。
身体に汗をかいた状態が続くと、身体に熱がこもり脱水状態に陥りやすくなります。夏は麻素材や綿素材などの天然素材がおすすめです。
また、汗を拭くためのタオルや汗を蒸発させるための扇子を持ち歩くのも良いでしょう。
冬は温度に合わせて脱ぎ着できる服装を
冬は暑いと感じた時に、脱ぎ着ができるような服装を選びましょう。
室内では暖房が効いている事が多く、気付かない間に汗をかいていることがあります。さらに冬は乾燥しているので、身体の水分が奪われてかくれ脱水を起こす危険性が高いです。
冬はなるべくコートや、カーディガンなどを上手に活用して体温調節をしましょう。特に、小さな子どもは汗をかきやすいので、大人が注意して脱ぎ着をしてあげてください。
かくれ脱水には経口補水液がおすすめ

もし、かくれ脱水のサインが現れたら経口補水液をすぐに飲みましょう。
身体の中の体液には、水の他にもナトリウムやカリウムなどが含まれています。経口補水液は、水分と共に身体に必要な成分を効果的に吸収できるように設計された「飲む点滴」のような存在です。
経口補水液を飲む際は、1時間ほどかけてゆっくりと飲むことが推奨されています。効果的に水分補給するためにも、一気に飲まないように気をつけましょう。
かくれ脱水が起こるシチュエーションを理解して、しっかり予防しよう
かくれ脱水は明確な症状がないので、知らない間に進行して脱水症を起こす危険性があります。
かくれ脱水を予防するためには、日頃から水分をこまめに摂ることが重要です。特に小さな子どもやお年寄りは進行が早いので、喉の渇きを感じていなくても水分を摂るように心がけましょう。
また、冬は乾燥が原因でかくれ脱水を引き起こす可能性があります。部屋の温度だけではなく湿度にも注意することが大切です。
かくれ脱水を予防することは、脱水症や熱中症だけではなく風邪やインフルエンザの予防にも繋がります。水分補給だけではなく、規則正しい生活を送ることが一番の予防策です。ぜひ栄養バランスに優れた食事と十分な睡眠を心がけて、健康的な毎日を送りましょう。