トップ水の知識日本酒と水の関係を知って美味しく呑む!「仕込み水」と「和らぎ水」

日本酒と水の関係を知って美味しく呑む!「仕込み水」と「和らぎ水」

日本酒と水の関係を知って美味しく呑む!「仕込み水」と「和らぎ水」

日本酒造りに水は欠かせない存在です。水は日本酒の成分の8割を構成していて、日本酒の味に大きく影響します。
日本酒と大きな関わりを持つ水に「仕込み水」と「和らぎ水」があります。「仕込み水」は日本酒の原料になる水のこと。「和らぎ水」は日本酒と一緒に飲む、チェイサーのような役割を持つ水のことをいいます。今回はこの2つの水について詳しく解説するとともに、日本酒を美味しく飲むコツをもご紹介します。

仕込み水とは?日本酒の原料になる重要な水のこと

日本酒

仕込み水とは、文字通り日本酒の仕込みに使われる水のことを指します。日本酒の原料となるだけでなく、お酒を造る過程でも大量に使用されます。仕込み水の水質は、日本酒の味に直接影響する重要な要素なのです。

日本酒は「水」「米」「米麹」でできている

日本酒の醸造風景

日本酒は水、米、米麹を原料とする醸造酒です。日本酒造りは、もととなる「もろみ」を造るところから始まります。

「もろみ」は、米を糖化し同時にアルコール発酵を行うことで造られます。そうして出来た「もろみ」は発酵後に絞られ、酒粕と清酒に分けられます。清酒は火入れして殺菌。その後、貯蔵、ろ過を経て仕込み水が加えられます。仕込み水でアルコール度数を調整したら、必要に応じて火入れをし、ろ過。瓶詰めされて日本酒が完成します。

日本酒造りの最も大きな特徴は、米の糖化とアルコール発酵を同時に行うことです。これは世界的に見てもかなり高度な醸造方法。ワインなどの醸造酒はアルコール度数が12〜14度ですが、日本酒の原酒は20度。この醸造方法のおかげで、高いアルコール度数の醸造酒を作ることができるのです。
通常、日本酒は高アルコール度数の原酒に加水し、15度前後に調整して製品化されます。

仕込み水は日本酒の質に影響する

水源の泉

日本酒造りにおいて、仕込み水は洗米から醸造、最終調整までのあらゆる過程で消費されます。その過程で水の成分は米に浸透していきます。水が日本酒に与える影響は大きく、水質はとても重要です。

酒造の仕込み水は、水道水よりも厳しい成分基準があります。特に、鉄分やマンガンの数値は厳格に決められていて、ほとんど含まれていないことが仕込み水の条件。鉄分は日本酒の色を茶褐色にしてしまいますし、マンガンは日光による着色を促進してしまいます。このような厳しい基準をクリアした名水が、日本酒を造っているのです。

日本酒造りには豊富な水が必要なので、酒造は水の豊富な土地に作られます。水が美味しい土地に酒造が多いのは、こういった理由があるからです。土地の水の個性が、そのまま日本酒の特徴につながります。

仕込み水の種類は?軟水と硬水で日本酒の味が変化する

日本酒の樽

水は硬度によって軟水と硬水に分けられます。硬度とは、水質を表す指標のこと。カルシウムやマグネシウムなどの含有量が多いのが硬水、少ないのが軟水です。

仕込み水が軟水か硬水かによって、日本酒の味の傾向が決まります。軟水を仕込み水にすれば優しい味わい、硬水なら骨格のしっかりした濃い日本酒に仕上がります。

軟水はまろやかな口当たりの日本酒に

水面

軟水を仕込み水にすると、麹や酵母の増殖が抑えられます。酵母の栄養分となるミネラルが、軟水には少ないからです。発酵する力が弱いので、長期でじっくりと発酵が進むことになります。
穏やかな発酵で出来た日本酒は、香り高くすっきりした味わいになります。口当たりはまろやかで水そのもののように柔らかく、淡麗な味に仕上がります。

軟水の代表銘柄、新潟の日本酒

新潟県は米と水が豊富で、90以上の蔵元があります。「米どころ」と呼ばれるほど美味しい米に恵まれ、さらに山脈から流れ出る湧き水は非常に良質。美味しい日本酒が生まれる条件を満たしている新潟には、多くの銘酒があります。

新潟の水質は、発酵が穏やかに進む軟水。辛口淡麗といわれるすっきりした味わいが特徴の日本酒が多いです。石本酒造の越乃寒梅、八海醸造の八海山などが有名です。

硬水はキレのあるドライな日本酒に

一升瓶

硬水を仕込み水にすると、酸味のある辛口で濃厚な日本酒に仕上がります。硬水に含まれるミネラルは発酵を促す酵母の栄養分となるので、発酵が活発になり、酸味やキレが生まれやすいのです。
仕込み水が硬水の日本酒は、うまみと酸味のある存在感の強い味に仕上がります。

硬水の代表銘柄、灘(兵庫)の日本酒

兵庫県には各地に名水がありますが、中でも有名なのは灘の「宮水」と呼ばれる水です。宮水はミネラル分が一般的な水よりも豊富で、酒造りに適した硬水。厳密に言えば中硬水に当たり、発酵が進みやすいので技術が未発達だった時代でも失敗なくお酒を造ることができたと言われています。

日本酒の原料となる酒米作りも盛んで、兵庫には80以上もの蔵元があります。神戸市の灘近辺にあるのは、白鶴酒造や菊正宗酒造など全国的に有名な酒造。他にも清酒ブランドの本拠地や、酒造メーカーの蔵がいくつもあります。

和らぎ水とは?日本酒のチェイサーのこと

グラスに注がれる水

和らぎ水とは、日本酒を楽しむ合間に飲む水のことです。洋酒に付けるチェイサーの水のようなものですね。日本酒と一緒に和らぎ水を飲んでおくと、悪酔い防止などの良い効果がいくつもあります。

和らぎ水の効果

二日酔いの男性

日本酒のアルコール度数は15度前後。和らぎ水はそのアルコールの刺激をやわらげてくれます。また、日本酒の合間に水を挟むことで呑み過ぎ防止の効果も期待できます。飲酒中になりやすい脱水症状も、水分補給をすることで防ぐことができますよ。

二日酔いや悪酔いの防止

二日酔いの原因は、アルコールから発生する有害物質です。この有害物質が分解されずに体内に残ってしまうと、二日酔いになってしまいます。有害物質の分解には大量の水が必要なので、和らぎ水を飲んでおくことは大切です。

和らぎ水を飲むことで、悪酔いを防ぐこともできます。理想的なのは、日本酒と同量の和らぎ水を飲むこと。体内のアルコール濃度が下がり、悪酔いを防止できます。

脱水症状の防止

アルコールには利尿作用があるので、飲酒中は体内の水分が排出されます。水分を摂っておかないと、脱水症状に陥ってしまうでしょう。和らぎ水でしっかりと水分を補給することが重要です。

和らぎ水の選び方

選択

和らぎ水に最もおすすめなのは、日本酒の仕込み水です。もしくは、軟水が和らぎ水に向いています。軟水にはミネラルの味や香りがないので、お酒の味を邪魔しません。口内をすっきりとリセットしてくれます。

最適な和らぎ水は、飲む日本酒の仕込み水

日本酒と相性が抜群に良い水は、その日本酒の仕込み水です。出来上がった日本酒の味を引き立ててくれるので、仕込み水は和らぎ水として最適です。
最近では、日本酒の専門店で仕込み水を提供してくれる所もあります。和らぎ水にも拘れば、日本酒をさらに美味しく呑むことができますよ。

硬度に注目して和らぎ水を選ぶ

仕込み水が手に入らない場合は、硬度の低い軟水を和らぎ水にしましょう。軟水は余計な味がしませんし、適度な水分補給にもぴったり。どんな日本酒にも合うのが軟水です。

ただし、中硬水の和らぎ水が合う日本酒もあります。それは超辛口や辛口などのキレのある日本酒。中硬水のミネラルは口の中を引き締め、日本酒の余韻を適度に残してくれます。日本酒の刺激や力強さを存分に楽しみたい場合は、中硬水を和らぎ水にするのも良いでしょう。

日本酒の飲み方は?ストレートだけでなく水割りも美味しい

一升瓶から注がれる日本酒

日本酒は燗や冷やでストレートに飲むイメージが強いですが、実は水割りにも向いています。そもそも日本酒は、出来上がった原酒を水で割って最終調整しているお酒。水との相性は良く、割っても味わいや風味が損われにくいのです。

和らぎ水と一緒にそのまま味わう

日本酒で乾杯

冷やや燗で味わう場合は、和らぎ水を隣に置いて一緒に楽しみましょう。呑み方に決まりはありませんが、日本酒と和らぎ水を交互に一口ずつ飲むのがおすすめです。一口ごとに口の中をリフレッシュさせながら、日本酒の味や香りをじっくりと楽しむことができますよ。

水割りにして味わう

冷酒と水

水割りのメリットは、アルコール度数を好みに調整できることです。度数の高い日本酒でも、水割りにすれば飲みやすくなります。「日本酒は濃くて飲みにくい」「アルコールの刺激が強すぎる」と感じる人には、特に水割りはおすすめです。
美味しい水割りの作り方を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

水割りにするなら日本酒の原酒を選ぶ

仕上げの加水調整をせずに製品化された日本酒を「原酒」といいます。原酒のアルコール度数は18〜20度ほど。アルコールの刺激は強いのですが、お米のうまみをしっかりと感じられます。
水割りは、そのような原酒を味わう際におすすめです。アルコール度数を調整しつつ、原酒の美味しさが味わえますよ。

原酒ではない日本酒も水割りで楽しめます。水割りにするなら、お米のうまみが強い「純米酒」を選ぶと良いでしょう。お米を贅沢に使っているので、水割りにしてもお米のうまみや甘みが感じられます。

割り水は仕込み水か軟水

美味しい水割りを作るには、割り水も重要です。相性が良いのは仕込み水。手に入らなければ軟水を使いましょう。日本酒の柔らかい風味を引き出すには、ミネラルの少ない軟水が適しています。
なお、硬水を使って水割りを作ると日本酒のシャープな風味が際立ちます。飲みやすさを求めるなら、軟水で割るのが良いでしょう。

日本酒の水割りの割合は8:2

水割りの分量は、日本酒8に対して割り水2にするのがおすすめです。原酒を割る場合は、もう少し割水を増やしたほうが飲みやすい度数になります。一度8:2で水割りを作ってみて、お好みで調整してみてください。

水割りを少し温めると「割水燗」になります。水割りよりもアルコールの刺激を感じますが、ふわっと優しい風味になりますよ。温度を変えると味が大きく変わるので、割水燗と水割りで飲み比べるのも楽しいでしょう。

日本酒は和らぎ水と一緒に呑もう

日本酒と関わりの深い「仕込み水」と「和らぎ水」をご紹介しました。日本酒にはお米だけでなく、水の美味しさも凝縮されています。日本酒を通して、ぜひ名水の美味しさも味わってみてください。日本酒は度数の高いお酒なので、そばには和らぎ水を用意して楽しんでくださいね。

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