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撥水と防水はこの違い!機能性素材にセルフ撥水加工しよう

撥水と防水はこの違い!機能性素材にセルフ撥水加工しよう

撥水とは、水をはじく便利な性質のことです。傘やレインウエアなど、撥水加工をされている製品は身近にたくさんありますね。

この撥水加工、実は自分で簡単に行うことができるのです。撥水効果のないアイテムでも、ひと手間かければ雨や汚れをはじいてくれるようになりますよ。

この記事ではセルフ撥水加工の方法の他、撥水の仕組みや防水との違いを解説します。

撥水と防水の違いとは?撥水は水をはじく、防水は水を通さない機能

比較

撥水と防水は混同しやすいのですが、意味は全く違います。「撥水」とは水をはじく機能のこと「防水」とは水を通さない機能のことです。

撥水や防水は生地の表面を加工することで効果が得られる他、生地そのものが防水や撥水素材でできている製品もあります。

撥水とは

球状の水滴

撥水性のある生地は、水を球状にしてはじきます。球状になった水滴は内側に浸みこまず、生地表面に浮かび上がります。

撥水の原理

撥水は、水分子が持っている「凝集力(ぎょうしゅうりょく)」と「表面張力」が作用して起こる現象です。

「凝集力」とは水同士が引き合って集まる力のこと。「表面張力」とは液体の表面積を最小にしようと中心に集まる力のことです。この2つの力が発揮されると水は集まって最小になろうとし、球状になるのです。

水の「凝集力」を発揮させるには、生地と水分子がくっつかないようにしなければなりません。生地を膜で覆い、水分子が生地に付かないようにするのが撥水加工です。

具体的には、生地の表面をフッ素系やシリコン系の加工剤で覆い、分子を引き寄せにくくします。加工剤により、生地表面に「撥水基」と呼ばれる目に見えない細かな突起物ができ、その突起物が水をはじきます。

撥水度試験をクリアしないと「撥水」と明記できない

試験

撥水効果には基準値が設けられています。「撥水度試験(スプレー試験)」と呼ばれる試験をクリアしないと、製品に「撥水」と記載することはできないのです。

「撥水度試験」とは、生地表面の水のはじきやすさを調べる試験のことです。対象の素材に、250mLの水を30分間シャワーのようにして散布します。

軽く水滴を払った後、どのような状態になっているか目視で確認してレベルを測定。次のどの状態に当たるかで、良し悪し(5級が最良)を判断します。

  • 5級:表面に湿潤がなく、水滴の付着もない
  • 4級:表面は湿潤していないが、小さな水滴の付着がある
  • 3級:表面に小さな水滴状の湿潤がある
  • 2級:表面の半分程度が湿潤している
  • 1級:表面が全体的に湿潤している

例えばコートに撥水効果があることを明記する場合は、洗濯処理、もしくはドライクリーニング処理を3回行った後、撥水度試験で2級以上の結果を出さなければいけません。

撥水生地のメリット・デメリット

【メリット】

  • 通気性があるので蒸れにくい
  • スプレーで手軽に加工できる
  • 化学繊維や薄手の素材などのさまざまな生地に加工できる

【デメリット】

  • 洗濯や利用頻度によって撥水効果がだんだん弱くなる
  • 長時間ぬれるような状況だとそこから水が入ってくる
  • 霧雨のような小さな水滴が浸みこむ場合がある

撥水加工は手軽にできますが効果は長く続きません。また、強い雨に長時間ぬれるような状況では、効果は実感しにくいでしょう。

撥水効果を保てるようこまめにケアすることと、状況に応じて撥水製品を使用することが重要です。

防水とは

防水仕様の長くつ

防水とは、水を通さない性質のこと。防水製品は、塩化ビニールや合成ゴムなど生地そのものが水を通さない素材でできていることが多いのです。防水素材は防水効果が高く、生地の裏側に水を通しません。

また、ラミネート生地のように生地表面をコーティングして防水効果を持たせる加工もあります。防水加工は水と同時に空気の流れもさえぎるので、蒸れやすいというデメリットがあります。

防水素材の代表格「ゴアテックス(GORE-TEX)」

ゴアテックスのアウター

防水効果のある生地は通気性が低いのがデメリット。そのデメリットを解消した生地が「ゴアテックス」です。「ゴアテックス」は、アウターや靴などさまざまな製品に採用されています。

アメリカ生まれの「ゴアテックス」は、防水耐久性・透湿性・防風性を兼ね備えた優秀な素材。微細な穴が無数にある薄い膜を、生地に張り合わせてできている素材です。

ただし、優秀であるだけにゴアテックス製品はやや高額。リーズナブルなものでも10,000円ほどで、磯釣りや過酷な登山に使えるレインジャケットとなると80,000円程度かかります。

ゴアテックスではない生地のレインウエアなら3,000~5,000円ほどで購入できますが、ゴアテックスの平均価格は20,000~30,000円ほど。高額ですが、他の防水素材と違って通気性が保たれていて、着用中も快適に過ごすことができますよ。

防水のメリット・デメリット

【メリット】

  • 雨に強く水を内側に通さない
  • 洗濯や使用を繰り返しても効果が落ちにくい

【デメリット】

  • 一般的な防水素材は通気性が悪く蒸れやすい
  • ゴアテックスは通気性はよいものの、価格が高い

ゴアテックスは防水効果が高く通気性もある素材ですが、少々値が張るのがデメリット。しかし水をしっかり防いで快適に過ごしたい場合は、ゴアテックス製品を選ぶとよいでしょう。

撥水生地の種類と用途

ナイロンの傘

撥水生地には、ナイロンとポリエステルがあります。それぞれの特徴をご紹介します。

撥水生地は主に2種類

茶色い生地

<ナイロン>

ナイロンは、ナイロン糸が高密度で織られている生地です。少し光沢があり、折り目が付きにくいのが特徴です。吸湿性が低く水をはじくので、傘やウインドブレーカーなどに使用されています。

ナイロンは耐久性が高いので簡単には破けません。摩擦に強いので、繰り返し使用してもほとんど傷まないでしょう。ただ熱には弱く、ビニールのように溶けてしまうので注意が必要です。

<ポリエステル>

ポリエステルはワイシャツなどに使われている身近な素材で、撥水加工にもよく使用される生地です。ナイロン同様に吸水性が低く速乾性があり、しわになりにくい素材です。

ナイロンと違って熱や紫外線にも強い素材ですが、一方で静電気が発生しやすく毛玉ができるというデメリットがあります。

ポリエステルは撥水加工の後、雨傘やレインコートなどに使用されます。

撥水生地の主な用途

テント

撥水生地で作られる製品には、次のようなものがあります。

  • 雨がっぱ、レインコート
  • ユニフォーム
  • エプロン
  • タープやテントなどのアウトドア用品
  • バッグ

傘や雨具には撥水機能は必須です。水にぬれたり汚れたりする可能性のある作業着も、撥水機能があれば安心です。

アウトドア用品も雨にぬれる可能性があるため、撥水機能が必要ですね。バッグに撥水機能があれば、中の物がぬれないので便利です。

自宅でできる!スプレーでお気に入りのアイテムを撥水加工してみよう

お気に入りのシューズ

撥水スプレーをかければ、衣類や小物に水をはじく効果を与えられます。急な雨があっても、靴が汚れたりぬれたりするのを防ぐことができますよ。

撥水スプレーの選び方。「フッ素系」か「シリコン系」か

選択

スプレーの主成分は、フッ素樹脂やシリコーン樹脂。フッ素樹脂やシリコーン樹脂は表面張力が低いので水となじみにくく、水をはじきやすいのです。

撥水スプレーの価格は、メーカーや用途にもよりますが1,000~2,000円程度です。フッ素系よりも、シリコン系のほうが少々高い傾向にあります。

フッ素系の特徴

フッ素系のスプレーを使用すれば、繊維の1本1本がフッ素樹脂でコーティングされます。水だけでなく油分の汚れもはじいてくれるので、食べこぼし汚れも防いでくれますよ。

フッ素系のスプレーは衣類全般に使えます。また衣類だけでなく、靴やかばんなどの革製品にも使用できるのがメリット。ただし摩擦などではがれやすいので、効果の持続性に欠けるところがあります。

シリコン系の特徴

生地表面を油性の膜で覆うことで撥水効果を得られるのが、シリコン系です。

通気性は保たれませんが水をしっかりはじくので、傘やレインコート、マリンスポーツウエアに使用できます。革製品に使用するとシミができてしまうので、使用は控えましょう。

また、フッ素系と違ってシリコン系はシリコン樹脂そのものが油なので、油性の汚れははじきません。注意しましょう。

容量にも注目して選ぶ

スプレーを惜しんで少量しか使わないと、しっかりコーティングされず撥水効果が不十分であることがあります。十分にコーティングできる、適切な容量のスプレーを購入するようにしましょう。

また、撥水スプレーをかけても効果はずっと続くわけではありません。使用するたびに摩擦などで効果が薄れていくので、定期的にスプレーをする必要があります。

使用頻度やスプレーの種類にもよりますが、だいたい1、2カ月程度で効果が落ちてしまいます。撥水スプレーは、対象物の大きさや使用頻度を考えて十分な容量のものを選びましょう。

撥水スプレーの使い方と注意点

防水スプレーを傘に掛ける

衣類や小物に撥水スプレーをかける際の注意点や、効果的なスプレーの使い方を解説します。

1.汚れをきれいに落とす

革小物や靴などは、スプレーをかける前に拭きあげてきれいな状態にしましょう。衣類は一度洗濯をしておいてください。スプレーをかける前に完全に乾かすことも重要です。

2.風通しのよいところでスプレーを使用する

スプレーは換気のよい場所で使用してください。可能であれば、屋外などの風通しのよいところでスプレーをかけると安心です。

屋内でスプレーを使用する場合は、窓を開けるようにしましょう。スプレーを吸い込むと危険なのでマスクを着用することをお勧めします。

また、撥水スプレーには可燃性の高い有機溶剤やガスが使われているので、ストーブやタバコなどの火気から離れた場所で使用するようにしてください。

3.全体的にかけてしっかり乾かす

衣類とスプレーの距離を20~30㎝程度開けて、全体に満遍なくスプレーします。液だれしないように薄めにかけることを心がけてください。特にナイロンなどの薄い生地は、液だれの跡が白く残ってしまうことがあります。

撥水効果が十分に得られるよう、スプレーした後はしっかりと乾燥させましょう。乾いた状態でないと撥水効果が十分に発揮されないことがあります。

撥水スプレーの乾燥時間は製品の種類によって異なります。速乾性のスプレーであれば1分程度で乾きますし、20分以上かかるスプレーもあります。急な雨や雪に対処したい場合は、速乾性のスプレーを選びましょう。

撥水加工すれば、お気に入りのアイテムが長持ちする

撥水加工は、スプレー1つで手軽にできることが特徴です。加工できるアイテムも幅広いので、「汚したくない」「雨で濡らしたくない」というものがあれば、撥水スプレーで加工してみてはいかがでしょうか。

また、撥水製品の効果が薄れてきても、スプレーで撥水効果をよみがえらせることも可能です。日々のお手入れもしやすくなりますので、ぜひセルフ加工にチャレンジしてみてください。

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