おいしい氷とは、無色透明で溶けにくく雑味のない氷のことです。今は氷屋さんに行かなくても、コンビニやスーパーで簡単に手に入れることができますね。しかし実は、おいしい氷は、ひと手間かければ自宅でも作ることができるのです。
氷をおいしくするには、凍らせる水から不純物を取り除くことがポイントです。この記事では、不純物を除去しておいしい氷を作る方法や、氷の楽しみ方などを詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
おいしい氷の条件は?氷の不純物を取りのぞくことが大切!
水から不純物をなくすことがおいしい氷を作る条件です。不純物を含んだ水で作った氷は、一部が白く濁り苦みや匂いを感じるでしょう。そんな不純物とは具体的に何を指すのかご説明します。
不純物とは、水中の空気やミネラルのこと
水道水に含まれている不純物には、次のような成分があります。
- 空気
- ミネラル成分(カルシウム、マグネシウムなど)
- トリハロメタン
- 残留塩素(カルキ)
空気は細かい気泡となって水に入り込み、そのまま凍らせると白く濁ってしまいます。凍っていく過程で、空気が入り込むこともあります。
ミネラル成分やトリハロメタンは、水の味や硬度に影響します。残ったまま氷にすると雑味となり、飲み物に余計な風味を与えてしまうでしょう。
また、残留塩素であるカルキには独特のにおいがあり、水の風味に影響します。塩素は衛生上使用が義務付けられていて、漂白・殺菌効果があります。「不純物」というと体に良くないイメージがありますが、基準値以下の塩素は体に害はありません。
不純物がなくなれば、透明でおいしい氷になる
不純物を除去した水は、無味無臭のクリアな氷になります。ドリンクに入れても雑味がでないので、純粋なドリンクの味を楽しむことができます。
また、空気を抜くことで水は透明で美しい氷になります。水は凍る際、外側からじわじわと凍っていき、水中の空気を内側に押し出します。白く濁る原因は、この押し出された空気。内側に集まった空気は気泡となって氷の中に閉じ込められ、白くなるのです。気泡が白く見えるのは、当たった光が乱反射しているため。空気がなくなれば、濁りのない透明な氷になります。
空気を除去した氷は美しいだけでなく、溶けにくいというメリットもあります。空気は熱が伝わりやすいので、空気が残れば残るほど溶けるのが早くなってしまうのです。
おいしい氷の作り方は?重要なのは「水」と「凍らせる速度」
おいしい氷を作る条件は2つあります。1つ目は純度の高い水を使うこと。水道水を純度の高い水にするには、カルキをしっかり抜くことが重要です。
2つ目の条件は、ゆっくりと凍らせることです。製氷機や冷凍庫の環境を調整したり、製氷皿に工夫を凝らしたりすれば、ゆっくりと凍らせることが可能です。
水道水はしっかりカルキ抜きを
カルキは水道水に必ず含まれている成分で、口に含むと独特のカルキ臭がします。鼻にツンとくる匂いで、プールの匂いをイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。このカルキを取り除くことができれば、おいしい氷にぐっと近づきますよ。
カルキを抜く方法
カルキを除去するには、次のような方法があります。
- 10分ほど煮沸する
- 汲み置いて、1~2日間日光に当てる
- 備長炭や竹炭を入れる
- 浄水器を使う
- レモン汁やビタミンC粉末などを混ぜて塩素を中和する
おすすめの方法は、煮沸することです。鍋ややかんを用意するだけで、比較的短時間で実行できます。長めに煮沸することで、塩素だけでなくトリハロメタンも除去できますよ。
さらに煮沸することで、水に溶けた空気を抜くこともできるのです。気泡となる空気を煮沸して追い出せば、透明度の高い氷を作ることができます。
塩素を除去したあとの水は雑菌が繁殖する恐れがあるので、なるべく早く使い切るようにしましょう。煮沸したら、遅くとも2日以内に使用するようにしてください。
ウォーターサーバーがあれば透明な氷が作りやすい
ウォーターサーバーの水には、カルキが含まれていません。ろ過処理でしっかり殺菌をしているので、塩素を入れる必要がないのです。
最初からカルキのない水を使えば、簡単においしい氷が作れます。
氷に向いているのは軟水のミネラルウォーター
氷には硬度が低い軟水を使うのがおすすめです。軟水は含まれているミネラル分が少なく、硬水に比べると味がまろやか。ミネラル成分が少ないので、氷にしたときに白く結晶化もしにくいのです。
氷には硬度が低い軟水を使うのがおすすめです。軟水は含まれているミネラル分が少なく、硬水に比べると味がまろやか。ミネラル成分が少ないので、氷にしたときに白く結晶化もしにくいのです。
ミネラル成分がほとんど含まれていない、超軟水のピュアウォーター(純水)もおすすめです。RO水とも呼ばれる純水は雑菌が繁殖しにくく、清潔な状態で長持ちするのが特徴です。
製氷機でゆっくり凍らせれば、溶けにくい氷ができあがる
ゆっくりと時間をかけて水を凍らせると、透明で溶けにくい氷ができます。急速に冷却すれば、空気は水中にとどまったまま凍ってしまい、気泡となって白く濁ってしまうでしょう。ゆっくり凍れば水中の気泡もゆっくりと移動し、空中に逃げやすくなります。
製氷機の温度調整をする
時間をかけて凍らせるための手軽な方法は、製氷機や冷凍庫の温度設定を変えることです。
温度調整が可能なら、できるだけ温度を高めに設定しましょう。ちなみに氷屋さんは、-10度の中で、時間をかけてゆっくり水を凍らせています。
製氷機の温度は、約-19度~-17度。氷屋さんのように-10度にするのは無理でも、できるだけ温度を上げるようにしましょう。
製氷機にミネラルウォーターを使う場合は、ミネラルウォーターが使用できるかどうか必ず確認するようにしてください。お使いの機器によっては、水道水しか使えない場合があります。
冷凍庫で氷を作る場合も、設定温度をできるだけ高くしましょう。ただし、冷凍食品なども一緒に保管している場合は要注意。冷凍食品は-18度以下で保存しなければならないので、それ以上の温度にしないよう注意してください。
容器の断熱性を高める
冷凍庫で氷を作る場合、使用する製氷皿の断熱性を高めることで、水をゆっくりと凍らせることができます。
製氷皿は、熱伝導率が低いプラスチック製の容器にしましょう。加えて、製氷皿をタオルやエアキャップで覆い、断熱性を高めることもできます。冷気が容器に直接当たらないようにすれば、水はゆっくりと凍っていきます。
不純物になりそうな水を捨てる
水を冷却して最初に凍るのは、純粋な水です。不純物は水よりも凍る温度が低いので、水よりも後に凍ります。この凍る温度の違いを利用して不純物を取り除くのが、水を捨てる方法です。
全体の半分から3分の2ほど凍った時点で製氷皿を取り出し、残っている水を捨てるだけでOK。不純物がなくなり、あとには透明な氷が残ります。
丸い氷を作るには?市販のアイスボールメーカーを使えば簡単
丸氷は溶けにくいという特徴があり、バーやレストランでよく使用されています。アイスボールメーカーを使えば、自宅でも丸氷は簡単に作れますよ。アイスボールメーカーは種類豊富にありますので、お好みのデザインと予算に応じて、使いやすいものを選んでみてください。
球体の丸氷は溶けにくい
丸氷がお店で使われるのは、美しいからという理由だけではありません。溶けにくいので飲み物が薄まらす、ゆっくりと飲み物を楽しめるメリットがあるのです。
球体が溶けにくいのは、四角い氷に比べて表面積が小さいためです。氷は液体に触れたところから溶けていくので、液体に触れる面積の少ない丸氷は溶けにくいのです。
丸型の製氷皿を使えば、だれでも簡単に丸氷が作れる
丸氷を作るアイスボールメーカーは、いろいろな種類が売られています。水を入れるだけで、簡単に丸氷が作れるのが人気の理由。100均でも手に入りますが、使い勝手の良さを求めるなら、1000円前後のグッズを使うことをおすすめします。
おすすめなのは、ドウシシャの「大人の透明まる氷DCI-19」。ドウシシャは、生活関連商品の企画販売している国内メーカーです。「大人の透明まる氷DCI-19」は容器の断熱性が高く、16時間かけてゆっくり凍る仕組みで、透明度の高い氷を手軽に作ることができます。
おいしい氷を作ってドリンクを楽しもう
氷でキンキンに冷えたドリンクは、夏場やお風呂上がりに飲むとおいしいですよね。ひと手間かけたおいしい氷を使って、冷たいドリンクを楽しみましょう。
お酒や冷たいお茶をゆっくり味わいたいときにも、おいしい氷は活躍します。
ロックスタイルでお酒を飲むなら丸氷
お酒をロックで飲むなら、ロックグラスの直径と同じくらいの大きさの丸氷を使うのがベストです。グラスにぴったりの丸氷を使えば、お酒を素早く冷やしてくれますよ。氷から溶けでる雑味のない水は、お酒の味を一層おいしくしてくれるでしょう。
丸氷は溶けるのに時間がかかるため、お酒が水っぽくならず、ゆっくりと楽しむことができます。
ジュースやハイボールにはキューブアイス
ジュースやアイスコーヒー、ハイボールなどにはキューブアイスを入れましょう。軟水でできた氷なら、お茶やお酒、コーヒーの香りを邪魔しません。
氷は、タンブラーの幅に近い大きさのキューブアイスが良いですね。それを2~3個タンブラーに入れ、ドリンクをゆっくり注ぎましょう。軽く混ぜるだけで、液体をスピーディーに冷やしてくれますよ。
フルーツやエディブルフラワーで見た目を華やかに
氷の中にエディブルフラワーやフルーツを閉じ込めれば、華やかな氷を作ることができます。スライスレモンやスライスライム、キウイやベリーを入れてフルーツの風味も楽しむのも良いですね。カラフルできれいな氷は、お客様のおもてなしにもぴったりです。
おいしい氷は料理にも活用できる
おいしい氷は料理にも活用できます。かき氷にして、氷そのものを味わうのもおすすめですよ。料理で氷を楽しめる活用法をご紹介します。
そうめん
溶けにくい透明な氷は、料理の飾りとして優秀です。そうめんを盛りつけた皿に氷をバランスよく乗せれば、涼しい見た目の一品に仕上がります。
ここで白く濁った氷を使うと、すぐに溶けて麺が水を吸ってしまいます。そうめんに盛り付けるなら、透明の溶けにくい氷を使いましょう。
かき氷
透明の氷を使えば、フワフワ食感のかき氷が作れます。お店で食べるかき氷のような、雑味のない味わいになりますよ。
かき氷を作るときは、氷を室温において表面から水がでるまで放置しましょう。冷凍庫から出したばかりの氷は表面が硬いため、少し溶かして柔らかくするのです。これで滑らかに削ることができます。
少し溶けてきたら、氷をかき氷器にセット。あとはこんもり山型になるように盛るだけです。
シロップを冷やしておくのもお忘れなく。フルーツも一緒に凍らせた氷を使って、アレンジレシピを楽しむのも良いでしょう。
冷や汁
涼を感じる冷や汁は、宮崎の郷土料理です。魚、薬味、すりゴマ、塩もみキュウリ、焼き付けた麦みそなどで作った汁を、ご飯にかけて食べます。
冷や汁に透明の氷を2~3個入れて冷やせば、暑い夏でもサラサラいただけます。透明の氷は雑味がないので、溶けても冷や汁の味を乱しません。氷が溶けきることを考えて、味は濃いめに作るようにしましょう。
おいしい氷の条件は、不純物のない水を使うこと
おいしい氷に必要なのは、カルキなどの不純物が含まれていない水です。水道水を煮沸しても良いですし、手軽にウォーターサーバーから用意しても良いでしょう。
不純物を除去した水をじっくりゆっくり凍らせれば、透明でおいしい氷のできあがりです。好みのドリンクに料理に、いろいろと活用してみてくださいね。